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2007 年12 月6 日

虚数の呼び声

いつもは手作りプラネタリウムについて書いているのですが、今日はあるSF作品について思い付いたアイデアを書いてみます。この作品は5年くらい前のものでシリーズはまだ続いていますが、単行本にはなっていないので、知らない人には、この文章はまったく意味不明のものになるとおもいます。
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「虚数の呼び声」

スタージョンの法則にあるように、いや、それ以上に検索知能が自由連想検索してくる情報は99.999パーセントがクズだった。駄洒落やら、でまかせ理論、無駄口、たわごと、インチキ機械がそのほとんど。踊る浜茶屋、スカッド爽やか、ロボットみはらがわ。しかし、100万件に一件ぐらいはとんでもない発見があった。
πとeと虚数の美しい数式 から生まれた虚数発電機は無限のエネルギーを人類にもたらした。
数学定理 から開発された超高速演算素子ピタゴラスイッチ。
伊代はまだ重力だから から発明された反重力エンジンは宇宙への道をひらいた。
ゴミの山から一粒の宝石を見つけるため、科学研究士達は今日も駄洒落と格闘するのだった。
うなるコンピュータ。流れる汗。増えるワカメ。

数学的表現でしかない重心にそんなものがあるとは。しかし虚数発電機の例もある。
特異点理論を検証するべく、観測衛星「つむじ」が太陽系共通重心へ向かっていた。共通重心は木星と土星の位置関係により、何年か太陽光球面内に入ってしまう。今回の観測ウインドウを逃すと次は10年後だ。刻々とせまるタイムリミット。遅れるスケジュール。削られる予算。徹夜の続く科学者。風呂にも入れないエンジニア達。増え続けるワカメ。

特異点観測衛星からの通信が途絶えたころ。地球外知性信号解析チーム「黄色倭人」はシリウスの過去データから有意信号を発見する。しかし、それはさっき行方不明になったばかりの衛星つむじからのレーザー信号だった。衛星搭載の世界標準映像デバイス5代目初音みくが映る。「…ワカメでセンサーが見えな…」

こうして特異点ジャンプ航法が発見されるのだが、惑星質量が小さい星系や巨星系ではジャンプポイントが光球面の内側にあって神の目の小さな塵みたいになってたり、太陽系のように数年間使えなかったり、100年に一度の惑星直列にしか使えないポイントがあったりと、バラエティに富んでいる。基本的に恒星に近い所にあるので派手で危険がいっぱいの描写が可能だが、他のコラプサージャンプ系の航法と似てくるのが難点だ。袋小路ポイントは宇宙の墓場サルガッソ宙域。超繁殖した海草に宇宙船が飲み込まれていくのだった。<終>

要点は1つで、つむじの場所です。
原作や作者、物理法則やファンを愚弄するつもりはありません。不快に思われたらゴメンなさい。
読まれた方はぜひ、コメントをお願いします。

投稿者:ヒゲキタ
at 23 :20 | 日記 | コメント(3 ) | トラックバック(0 )

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